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イスラエルから見たイヴァンカ・ジャレッド夫妻の横顔―2016.11.27

安倍首相とトランプ次期米大統領

http://www.dailymail.co.uk/news/article-3948262/Japanese-Prime-Minister-Shinzo-Abe-leaves-Trump-Tower-meeting-Donald-Trump-Ivanka-Jared-Kushner.htmlより

さて、世界を驚かせたドナルド・トランプ氏の劇的勝利からしばらくたち、ニュースなどでは閣僚人事や政権移行チームについての報道が中心となってきました。そんなトランプ勝利後に注目を浴びているのが、氏の「秘密兵器」とも言われているこの2人-イヴァンカ・トランプとジャレッド・クシュナー夫妻。先日のトランプ氏と安倍首相との会談では夫妻で同席していたことが分かり、各国のメディアが「事実上のファーストレディーとトランプ氏一番の側近」と書き立てました。
今回はトランプ新政権でさらに影響力を増すことが予想されるこの2人を、イスラエル的視点でご紹介します。

この夫妻とイスラエル(またはユダヤ教)との関係は海外では選挙戦中から広く知られていました。日本でも最近報道され始めましたが、夫のジャレッド・クシュナー氏はユダヤ人で2009年の結婚前にイヴァンカ氏はニューヨークのユダヤ教正統派の学校で学び、ユダヤ教に改宗しました。キリスト教では洗礼を受けたときに洗礼名を付ける宗派も多いのですが、同様にユダヤ教でも改宗者にはヘブライ語の名前が付けられます。普段は「イヴァンカ・トランプ」ですが、シナゴグやユダヤ人の間では彼女は「ヤエル・クシュナー」と呼ばれています。
ジャレッド氏が正統派のユダヤ人家庭に育ったこともあり、彼女が改宗し結婚したあともコシャー(食物規定)やシャバット(安息日)などを宗教的なユダヤ人家庭として守っているようです。なので選挙戦中から忙しい2人ですが、金曜日の日没から土曜日の日没までの丸1日はシャバットになるので電話やパソコンの電源を切り仕事は全くしないそうです。エルサレム・ポストのインタビューにイヴァンカ氏はこう答えています。
「父(ドナルド・トランプ氏)も私たちとはシャバットの1日は連絡が取れないことにもう慣れました。長女のアラベラは正統派のユダヤ系幼稚園に通園し、私たちはとてもモダンでありながら伝統的な生活を送っています。この目まぐるしい世界で週に1日は家族団らんの時をゆっくり過ごすことは、宗教的価値を置いといても重要です。」

さて彼らが敬虔なユダヤ教の一家であるのが実際に分かる写真がこちら。

https://www.youtube.com/watch?v=wfKXlaCjgE8より

これは大統領選の投票日直前、11月6日に著名なラビの墓所で撮影されたビデオの1コマです。画質は悪いですがイヴァンカ・ジャレッド夫妻が超正統派の男性に連れられ、選挙戦での勝利を祈りにラビの墓へ向かう様子が分かります。この墓にはハバッド・ルバビッチ運動と呼ばれるユダヤ教超正統派の1派最後のラビ、メナヘム・シュネルソンが眠っています。20世紀を代表するカリスマ的なラビで死後20年以上経った今も、多くの信者がメシアとしての彼の復活を信じたり、多宗派のユダヤ教徒も祈りを捧げるために訪問したりと一大巡礼所になっています。
投票日前最後のシャバットが明けてすぐにここに来て祈りを捧げる様子からも、彼らが敬虔なユダヤ教徒である事が分かっていただけるかと思います。
こんな2人ですがアメリカ国内だけでなくトランプ政権の外交でも重要な役割を担っていくかもしれません。日本では安倍首相との会談後に「イヴァンカ氏が駐日大使になるのでは」というようなニュースがあったようですが、海外メディアはジャレッド氏が中東でのトランプ外交のコンサルタントになるのではと報じています。
今週ニューヨーク・タイムズが行ったインタビューでトランプ氏は「イスラエルとパレスチナの間に平和をもたらせたらと思う。(和平を実現できれば)大変な偉業になるだろう。」と述べ、さらに「(中東の)地理や人々に明るく人脈もある彼が、イスラエルとパレスチナの間の和平実現のために働いてくれるだろう」と義理の息子であるジャレッド氏を中東和平のキーマンに指名する発言をしました。

ジャレッド氏ですがユダヤ教徒という以外にイスラエルとの関係はそこまで知られていません。しかし、ジャレッド氏の父親チャールズ・クシュナーは当時イスラエル国連大使を務めていたネタニヤフ首相と、80年代からの旧友でジャレッド氏も子供の頃から知っていたり、エルサレム市長のニール・バルカットとも友人の間柄であったり、イスラエルの在米大使とも親しかったりと、イスラエル側の要人とはかなりのコネクションを持っています。

中東和平の対話では、ユダヤ人だというだけでもアラブ諸国の反発を呼ぶためかなりのマイナス要素です。その上、イスラエル側の各要人との広い交友関係を持つジャレッド氏は一般的に考えて、どう見ても中東問題を任せるべき人物ではないように思うのですが… 来年からのトランプ政権でイスラエル・パレスチナがどうなるのか、注目です。

「バラガン」とはごちゃごちゃや散らかったという意味のイスラエルで最もポピュラーなスラングです。ここでは現地在住7年のシオンとの架け橋スタッフが、様々な分野での最新イスラエル・トピックをお届けします。



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