menu
シオンとの架け橋トップページに戻る

シオンとの架け橋では、イスラエルニュースを無料メールマガジンで配信中です。

イスラエルについて

その他

バラガン・コラム-イスラエルあれこれ ➡記事一覧はこちら

イスラエルで反日デモ?2017.9.2

大使館前に集まり太地のイルカ漁に反対の声を上げる参加者たち

抗議集会のFBページ」より

イスラエルの人口の約4分の1にあたる220万人の子供たちが学校や幼稚園に戻った9月1日、テル・アビブにあるいつもは静かな日本大使館前で日本に対する抗議デモが行われていました。


あまり世界的には知られていないのですが、テル・アビブは1人当たりの寿司消費量が東京とニューヨークに次ぐ世界第3位の「寿司を食べる街」であり、最近は日本人が大将のラーメン屋を開店するなど親日な街。いったい何の抗議活動だったのでしょうか。その正体は、9月1日に解禁される和歌山県太地町のイルカ追込み漁に対する抗議デモでした。


イスラエル、特に中東一リベラルな町テル・アビブではヴィーガ二ムズ(絶対菜食主義)が社会現象となっており、イルカや捕鯨に関わらず畜産業や漁業に反対する大規模なデモや活動が活発に行われています。また2009年に映画『ザ・コーヴ』がアメリカを始め世界で公開され多くの賞を受賞すると、イスラエルでも日本の捕鯨やイルカ漁に対する批判の声がヴィーガンな人口層から上がり始めました。そして太地町のイルカ漁が解禁される時期に合わせ、毎年8月末か9月初めに在イスラエル日本大使館前でイルカ漁への抗議デモを行うのが2010年頃から一般化しています。


今年も「日本・太地でのイルカ大虐殺への抗議デモ2017」と銘打たれ、午前11時30分に動物愛護団体「Born to Freedom」のスタッフや有志が大使館前に集まり、抗議集会が行われました。前日の木曜日には大使館より在留邦人にメールが一斉送信され、「過去に実施された抗議活動では近隣に居合わせた邦人がデモ隊によって追い回された事例などがあり、(中略)ご自身の身の安全を最優先にした慎重な行動を心がけ願います」との呼びかけが…

メガホンを手に大きな声を上げるデモのリーダー

抗議集会のFBページ」より


また抗議集会のFacebookページをチェックしてみると、以下のような説明がされていました。

毎年9月になると太地の浜では海水浴シーズンが終わり、海水浴をする子供たちの笑い声と喜びが悲しみに一変する。漁期という名のイルカの虐殺が始まるからだ。漁期中、数万頭のイルカたちが残忍な形で殺戮されている。その後彼らは近くの屠殺場に引きずられて行き、解体され食肉として販売される。その上数百頭のイルカたちは力尽くで誘拐され、殺されていく家族たちと引き離され世界中の水族館に売られていく。そして彼らは生き延びたとしても、生涯囚われの身となるのだ。この漁と殺戮は9月から翌3月まで毎年7か月間続いている。
私たちは例年通り日本大使館の近くに集まり、このおぞましい殺戮行為に抗議の意を表する。


太地町の捕獲枠は年間2000頭弱で近年はその枠の半数程度しか捕獲されてはおらず、抗議集会の説明にある数万頭はかなり誇張され歪められた情報だという事が分かります。


そして9月1日、デモ当日。
Facebookのイベント・ページには80人が参加する見込みとして書かれていたのですが、集会後の主催者による報告によれば実際に来たのは30名程度とのことでした。ちょうど筆者もその日、テル・アビブに行く用があり1時ごろに大使館前に行ってみたのですが、すでにデモ隊の姿は消えいつもの様子でした。その場にいた警備員に話を聞くと、実際に参加していたのは20人弱で時間も予定されていたのは2時間よりも短く、約30分後の正午ごろにはデモは完全に終わってみな帰っていたとのことでした。
また小規模とはいえ大使館前でのデモ活動という事で、開始時間にはテル・アビブ市警の数人が大使館前に配置されていたようなのですが、あまりにも人数が少なかったため警備の必要ナシと判断、数分後に退散していたようです。

「天使を解放せよ」や「お母さんは僕にイルカの居場所は自然であって監獄ではないと教えてくれた」などというプラカードを手にする抗議者。

抗議集会のFBページ」より


『ザ・コーヴ』が公開されて最初の2・3年の間は数十人とそれなりの規模のデモが行われていたようですが、映画からかなりの時間が経っており参加者数も近年減少傾向にあるようです。しかしテル・アビブではまだまだヴィーガンがブームで、健康志向からというよりも動物を殺す事への倫理的な罪悪感・抵抗などから動物愛護者としてのヴィーガンになる人がまだまだ増えているようです。その証拠に世界で3番目に寿司を食べているテル・アビビー(テル・アビブ市民)ですが、多くの寿司レストランでは野菜巻きなどのヴィーガンのメニューが増え人気を博しています。

テル・アビビーの間でヴィーガンがブームであり続ける間は、寿司という日本食への高い関心からかえってイルカが食肉として捕獲されていることがより認知され、イルカ漁への抗議集会が息を吹き返す可能性も十分考えられます。
これからも日本大使館前で毎年反太地町のデモがどれくらいの規模で行われていくのでしょうか。捕鯨・イルカ漁に関する今後の日本の国際社会への説明の仕方とともに注目です。


「バラガン」とはごちゃごちゃや散らかったという意味のイスラエルで最もポピュラーなスラングです。ここでは現地在住7年のシオンとの架け橋スタッフが、様々な分野での最新イスラエル・トピックをお届けします。



TOP