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国連なんて知ったこっちゃない? ~国連とイスラエルの2017年~ 2017.12.29

www.un.org より)

イスラエルでは右派左派に関係なく国連への評価は低く信頼度はほぼゼロに近く、国連の決定に対して真面目にコミットしようとする姿勢はあまり見られません。その理由はやはり国連が持つ反イスラエル的性質にあります。日本ではエルサレム問題などのメジャーな動きしか報道されていませんが、近年国連ではイスラエルを標的にした非難決議が他国(イラン・北朝鮮・シリアEtc.)の10倍から20倍のペースで行われており、イスラエル側からすると「私たちの国が世界平和に貢献しているとは言わないけど、北朝鮮やシリア、ISの20倍も非難されるのはおかしいんじゃない」と、どうしても国連の反イスラエル的なバイアスを感じずにはいられないわけです。
そんなわけで今回は2017年に国連であったイスラエルに対する言動や決議のなかで、メジャーなものはあえて避け、少しマイナーですがイスラエリー(イスラエル人)を「怒らせた」3つの出来事を紹介したいと思います。


1.イスラエルのアパルトヘイト

国連人権理事会では毎年のようにイスラエルを非難する決議が議題に上がっており、今年3月にも人種差別と迫害を続けるイスラエルを糾弾する決議案が5つ議論されました。内戦が続くシリアやイランに対するものは1つ、そしてISのいるイラクに対する決議はゼロ。こうしてイスラエルは2017年も「最も人権侵害を行っている国」という不名誉な称号を手にしました。

イスラエルのアパルトヘイトを批判する各国と、反論するUNウォッチのヒレル氏

Youtube より)

イスラエルを非難する決議案はアルジェリア、イラク、エジプト、シリアなどアラブ諸国を中心とした計18か国によって共同提出され、イスラエルの推進する民族浄化・アパルトヘイトを非難する演説が続きました。
そんななか国連を監視する国際人権団体「UNウオッチ」の幹部ヒレル・ノイヤー氏が、「イスラエルに現在いる150万人のアラブ市民は、ユダヤ系市民と同じように国民としての基本的権利を有しており、イスラエル内には多くのアラブ人弁護士や医師もいれば、最高裁判所裁判官のも任命されている」とイスラエルを擁護。そして案を提出したアラブ・イスラム諸国に対して、

「アルジェリアには13万人のユダヤ人が居ました(1960年代)。あなたたちのユダヤ人は今どこにいますか?
エジプトには7万5千人のユダヤ人が居ましたが(1940年代)、今彼らはどこでしょうか?
シリアにも数千人のユダヤ人が住んでいました(正確には40年代の3万人)。今、あなたたちのユダヤ人はどこですか?
イラク(の代表者)、あなたたちも13万5千人のユダヤ人国民を有していましたよね。今、あなたたちのユダヤ人はどこに居ますか?」

と発言、しばし理事会に沈黙が流れました。
(現在イスラエルには150万人のアラブ系ユダヤ人「ミズラヒーム」が居るが、その大部分はアラブ諸国での弾圧・迫害からイスラエルに逃げるように帰還したミズラヒームの子孫。こうしてアラブ諸国内のユダヤ系国民は一掃された。)


2.パレスチナ人家庭のDVの責任はイスラエル?

今年6月の国連人権理事会では、国連女性差別撤廃委員会のドゥブラヴカ・シモノビッチ委員が調査結果を発表。そのなかで氏は、パレスチナ内の女性に対する暴力は長年によるイスラエルの占領政策によって引き起こされているという結論を発表しました。ドゥブラヴカ委員はレポートの中で、イスラム教が持つ男尊女卑的な傾向には全く触れず、パレスチナで起こっている女性差別や暴力などはイスラエルが根源になっているという主張に終始しました。

ドゥブラヴカ・シモノビッチ委員

www.unwatch.org より)

1つ目の問題はこの調査結果が統計学的データに基づいていないということです。「イスラエルの占領により一般市民の精神的負担が蓄積され、男性は女性に対して暴力を働く」というのは1つの仮説であり、これを証明するためには他のイスラム教国のデータを取って比較した上でなければ、結論は導けません。
そして2つ目は、ドゥブラヴカ委員がイスラム教とイスラム色の強い国が持つ男尊女卑の傾向を全く無視しており、多角的な調査ができていないことです。
例えば去年の2月にはパレスチナのテレビにガザのムフティー(宗教指導者)が出演し、「警告と隔離という2つの手段でも妻が変わらない時には打つ事(=暴力)を主人は行うべき。預言者(ムハンマド)は『顔を打って妻を醜くしてはいけない』と言われているとおり、警察や病院に行かなければいけないほど叩いてはいけない。叩く事とはジョークのようなもので、妻を叩いて愛と友情を思い起こさせるのだ」と発言しています。
イスラエルは間接的な要因であるのに対し、これらパレスチナ内での女性への暴力を正当化するような報道や風潮は直接的要因であるのにかかわらず、委員のレポートではこのムフティーの発言はもちろん、直接的なファクターには一切言及していません。

ムハンマドの言葉をを引用し夫が妻にふるう暴力を正当化するガザのムフティー

Youtube より)

左派をはじめ多くのイスラエリーが長年にわたる紛争がパレスチナの一般市民たちの心理状態を追込み、蝕んでいっているだろうという事に対して異論はありません。また左派の中には、その遠因としてイスラエル側の西岸地区での監視体制・軍の活動を挙げる人も多いと思います。しかし国連という場の特別調査で、短絡的な内容の調査発表がされ一方的に自分たちだけが責められるという状況に対し、多くのイスラエリーが右派左派関係なくうんざりし、国連に対し信頼はもちろん関心すら失っているというのが現実なのです。


3.「パリウッド」にUNRWAも参戦?

パレスチナやアラブのメディアを中心に、怪我をしていない人間をあたかも重傷を負って運ばれているような写真を撮影したり、明らかにイスラエル国防軍ではない兵士が暴力を振るっている写真をイスラエル軍によるものだと紹介したりと、事実とは違う報道で国際社会の同情・イスラエルへの敵意を買おうとする風潮があります。このようなメディアや報道は、ハリウッドならぬ「パリウッド」と呼ばれているのですが、国連までもがパリウッド的なキャンペーンを行っている事が今年6月に判明しました。

5月にUNRWAが投稿した「ガザ」に住む少女アヤ

www.unwatch.org より)

上の写真はUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)のFacebookページで公開された、パレスチナ人少女アヤの写真です。説明書きには、彼女が乳児だった頃からガザでは封鎖が行われており、彼女の記憶には困難と紛争、そして逃げられない壁といつ我が家が(爆撃されて)なくなってしまうかも知れないという恐怖のみしかないとあり、「このラマダンではどうかアヤのように紛争と辛苦しか知らない子供たちにサポートを」という募金を呼び掛けるメッセージで締められています。

しかしこの写真、ガザで撮影されてものではありません。3年も前の2014年にシリアで撮られたもので、2015年にはUNRWAが自身のツイッターやホームページでこの写真を使用しています。UNウオッチが6月初めにこの写真の「不適切」な転用をUNRWAに指摘したものの2か月間全く返答はなく、その後突然Facebookのページから写真は削除されたようです。「故意ではなかった」のかも知れませんが、かなり無理があるかと思います。

2015年1月27日のUNRWAの公式ツイート。ガザの少女がなぜかシリアに…

UNRWA公式ツイッターアカウント より)

以上、少しマイナーですが反イスラエルというバイアスが強く感じられた2017年の国連での動きをいくつか紹介しました。今月のエルサレム首都承認・大使館移転を無効にする決議案に関しては、国内でも議論があります。右派はもちろん国連を批判していますが、中道から左派にかけては「エルサレムはもちろんイスラエルの首都だがそれに関してアメリカや国連の承認は不必要。大使館移転については、和平交渉が全く進んでいない現状では性急すぎる」との冷静な考えも意外とあります。
しかしユダヤ人の歴史やゆかりを完全に無視したユネスコのエルサレム・ヘブロンに関する決定や、コラムで紹介した問題などあまりにも反イスラエルなものに対しては、右派・中道・左派関係なく「国連の決定=机上の空論。私たちは私たちの道を行く」というのがイスラエルの基本的なスタンスだと思います。
そしてコラムで紹介したような客観性を欠いたイスラエルに対する決議が恒例行事のように続く限り、この否定的な姿勢がこれから変わる事はないでしょう。
さて2018年は国連とイスラエルにとってどんな1年になるのでしょうか。

「バラガン」とはごちゃごちゃや散らかったという意味のイスラエルで最もポピュラーなスラングです。ここでは現地在住7年のシオンとの架け橋スタッフが、様々な分野での最新イスラエル・トピックをお届けします。



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