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首相のSNSアドバイザーにイエスを信じるユダヤ人が―2018.6.18
~イスラエルの宗教地図に変化が訪れる?~

ハナニヤ・ナフタリさんのFacebookページ

www.facebook.com/hnaftali/ より)


世界人口の約半分がイスラエルを『聖地』と信じている現状では、宗教抜きにイスラエルを語ることはできませんし、宗教が分かればわかるほどイスラエルは面白くなります。今日はイエスを信じるユダヤ人が政府のアドバイザーに就任したニュースを、イスラエルの宗教事情とともにできるだけ分かりやすく紹介してみたいと思います。


ここ50年でユダヤ・キリスト教間の宗教間対話や理解は進み、ユダヤ人のキリスト教に対するイメージはかなり友好的になってきました。しかし歴史を紐解くとユダヤ人とキリスト教との関係とは決して良いものではなく、ヨーロッパを中心にユダヤ人に対する迫害や虐殺が度々繰り返されてきました。このような歴史から「イエスを信じたユダヤ人はユダヤ人ではなくなる」という共通認識がユダヤ人とキリスト教徒の双方で生まれ、確立していきました。両者の関係が良くなってきた現在でも、宗教的か世俗派かに関わらず多くのユダヤ人が、「クリスチャンは良い友人。しかしキリスト教は私たちユダヤ人が信じるものではない」と考えているのが現実であり、イエスを信じる事は今でもある種のタブーになっています。


しかし現在イスラエルには、イエスを信じるユダヤ人「メシアニック・ジュー」という運動が起こっており、少しずつ注目を浴び始めています。それは、「イエスへの信仰心とユダヤ人である事は相容れない」という歴史的な常識に一石を投じる運動だからです。そしてユダヤ教とキリスト教のハイブリッドに見えるこの小さな運動は両者の板挟みになり、保守的なキリスト教からは「イエスを信じているのになぜ完全なクリスチャンにならずに時代遅れのユダヤ教にすがるのか」と白い目で見られ、同胞であるユダヤ人側からは「祖国を裏切り、私たちを迫害してきたキリスト教に寝返ったカルトだ」と非難を浴びています。


宗教的、また歴史的にもとても興味深い、このメシアニック・ジューという運動。その1人であるハナニヤ・ナフタリさんが、見出しにあったようにネタニヤフ首相のSNSアドバイザーに任命されました。イスラエルでは反イスラエルにかたよっている世界に自国の真の姿を伝えようとSNSを中心に活動する人たちがおり、Facebookで30万人以上のフォロワーを誇るナフタリさんはその中でも世界的に有名です。ここ数年SNSを重要な外交手段と考えているイスラエル政府にとってナフタリさんをアドバイザーにできたことは大きいようで、首相官邸のSNS担当スタッフは「SNS界のスーパースターを雇うことができた」と取材陣に述べたようです。


「ハマスについて知るべき10の事実」と題し、ハマスが子供たちを人間の盾として動員している様子を伝えるナフタリさん

www.facebook.com/hnaftali/ より)


しかしナフタリさんは、自身が「イエスを信じるユダヤ人(=メシアニック・ジュー)」であることを公言しているため、この政府の決定は議論を呼んでいます。前述した歴史的背景からメシアニック・ジューに対する風当たりは強く、宗教的なユダヤ人を中心に反対する声が上がっているのです。


このような歴史的・宗教的背景にも関わらず、イスラエル政府がメシアニック・ジューの若者を外部アドバイザーにしたのは驚きですし、彼がイスラエルのイメージ向上に貢献することでイスラエル社会にいまだに根強い、「メシアニック・ジュー=背教者・カルト」という見方が変わる日が来るのかも知れません。


イスラエルを愛するクリスチャンにとっては嬉しいニュースですし、クリスチャンでなくてもイスラエルの宗教事情に興味をお持ちの方々にとっては興味深い動きではないかと思います。ラビ・ユダヤ教という圧倒的マジョリティーのなか、宗教的マイノリティーの地位が向上するのか― そういう意味でもナフタリさんの活躍に注目したいと思います。


「バラガン」とはごちゃごちゃや散らかったという意味のイスラエルで最もポピュラーなスラングです。ここでは現地在住7年のシオンとの架け橋スタッフが、様々な分野での最新イスラエル・トピックをお届けします。



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